……タイッ!? プロローグ「覗いてみタイッ!?」-11
「ああん!」
和彦が腰に力を入れると、それに呼応して愛理の甘美な悲鳴が部室に響く。
先ほどまで自慰をしていた少年達だが、二人の愛の行為に飲まれたのか、はたまた呆れたのか、声も出せずにいる。
「ん、やぁ……和彦君……和彦君の、あたしの中……はいってくるのぉ……」
じたばたと両足で床を叩きながら、愛理は何かを堪えている。しかし、男の背に回す腕には力がこもり、彼の背中を強く抱きしめていた。
「あ、あぁ、先生の、きつい……もしかして……」
根元数センチ残して陰茎を咥え込む彼女に対し、ある違和感を覚える。
「うふふ……秘密……内緒だよ?」
人差し指を和彦の唇にひとさし指を立て、そのままキスをする。
愛理が飲み込んだもの。そんな些細な秘密など、今すぐをもって消滅すること。そして、公然の秘密でしかない。
「あ、和彦君の……、ぴくってなった。すごい、あたしの中で、んぁ! やぁ……、きゃん!」
破瓜の痛みよりも愛しい男の子とのセックスによる興奮が、彼女からノイズを除去し、快楽の色を強めていく。
「せんせ、せんせ……愛理せんせ……」
目をきゅっと瞑り、彼女の上で前後する和彦の姿は単調な作業の繰り返し。性衝動をそのままぶつける彼に、愛理はある満足感を覚えていた。
「ん、んぁ、気持ち……いい? 和彦君。いいでしょ? 愛理のなか? ハジメテなんだよ? 和彦君がハジメテ……」
公然の秘密を自ら告白するも、彼の後頭部に手を回す愛理の瞳にはぐしゃぐしゃな顔をした男になりたての和彦しか映っていない。
目から涙をこぼし、口の端から粘液質の唾液をこぼし、彼女の胸元を汚す。鼻の頭に玉のような汗をかきながらも必死に彼女を求める彼に、愛理は快楽を拒みながら笑顔を向け、ジャージの裾で彼の顔を拭う。
「ん? 先生? 先生?」
「和彦君の可愛い顔が台無し……」
「だって、それは……」
「でも、私だけの和彦君……」
男のモノを女で咥え込み、少年のままの彼を胸に抱く。
「ん、あ……もう、先生……僕……」
性教育の実習なら、しっかりとコンドームをつけるべき。膣内射精をしなければなどという、間違った性知識を教えてはいけない。
今からゴムをつけるべき? しかし、快感がそれを拒む。
初めてにして、生まれでた欲求。
男を受け入れてみたい。
そんな好奇心から。
――今日は安全日。
――しかし、教育者として?
――だけど、一人の女として?
――んーん、違う。
――あたし、彼のこと………………。
――ウフフ、あたしって悪い女ね。
「あ、イク、先生、僕行くよ。放してよ……」
絶頂を迎えつつある彼は拙い性知識の精一杯の避妊をしようと、快楽の蜜壺から自身を抜こうとする。
「ダメ、最後まで、したいのぉ……」
鼻にかかる声だけで男を誘い、手は投げ出してしまう。足を解き、彼の自由にさせる。
「せん……せ?」
亀頭があたると少し痛い程度の恥骨の辺りが、キュンと締まった気がした。
和彦は背筋を寒くさせる快感と与えられる熱にほだされ、最後の理性を投げ捨て、
彼女ののめりこむ。
「先生……僕、僕……うぅ、あん、くぅ……」
投げ出された手にしがみ付こうと、必死に伸ばす和彦を愛理は再び抱きこみ、指先の一本一本をしっかりと絡ませあう。
荒い息のなか、和彦の引き締まったお尻の肉がピクピクと動き、それが留まってもなお彼等は息を整えることをしなかった。