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イヴの奇跡
【その他 官能小説】

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イヴの奇跡V-4

『誰だ?あの子?』
『新しい社員?見学?』

ヒソヒソと聞こえる声。

『それより可愛くないか?』
『新社員だったら絶対モテるなぁ…』
『俺も絶対狙うね!』

神崎にもイヴにも聞こえている。
しかし神崎は何も言うことなく堂々と歩く。その後をイヴはキョロキョロ辺りを見渡しついて行く。

『男共って馬鹿ばっかり』
『可愛くても性格悪かったらどーするんだかっ!』
『きっと神崎社長も騙されてるのよ…』

様々な意見や憶測が飛び交う中、廊下を通り二人は社長室に入る。
ドアのバタンと閉まる音を合図に神崎とイヴは溜息を漏らした。


『だから嫌だった…お前を此処に連れてくるのは。あぁしてあることないこと…お前を見たイメージと憶測だけで話は流れていく…』
もう一度深い溜息を漏らし神崎はイヴの頭を撫でた。

『いいよ…圭…“しかたない”』
そう言って苦しそうに笑うイヴ。

神崎はこの会社のトップに立つ人間だ。
その神崎の下で働く者は少なからず自らの社長の行動が気になるものだろう…。
しかし、イヴの存在は誰もが想像していないもの。
容姿端麗なことに驚く人間もいれば、羨み、妬む者も現れる。
女優でもモデルでないどこから現れたのか分からない存在ということが良くも悪くも周囲の人間の目についてしまうのだ。


『仕事は出来てもいい奴ばかりじゃない…逆に、いい奴でも仕事が出来ない奴もいる。全てが完璧にはならないんだ…』


『知ってるよ、圭。どうにもならないこともあること…私は大丈夫。』

圭が自分を何故、会社に連れてこなかったか…その理由が分かったイヴ。


社長としての世間体もある。
しかし、それ以上に神崎はイヴの事を雰囲気やイメージだけであることないこと噂されるのが嫌だったのだ。
説明しても理解されない。
寧ろ噂は勝手に一人歩きを始めてあることないこと自分達の知らぬ場所で流れていく。
自分だけの噂なら、どうでもいい。
しかし、自分の大切な人が言われることだけは神崎は避けたかったのだ。

『圭…ごめんなさい。私勝手に…圭の気持ちも考えないで』
圭のスーツの裾を掴んで謝るイヴ。上目使いに潤んだ瞳が圭を見上げている。

『いい。その詫びは今、此処でしてもらうからな』

そう言ってイヴの腕と腰を自分の体へと引き寄せる神崎。

『ひゃ…!!』
急に引かれた体にイヴは驚きの声を出す。

『け…ここ会社…っむ!』
言葉を遮りイヴの口内へと割り込む神崎の舌。抗うことは出来ずにイヴはただ神崎の催促に従う。


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