遠恋ーえんれんー2-1
「なぁ、その指輪。なんで中指に付けてるの?」
「え‥?‥あぁ‥この指輪のこと?」
「普通はそうゆう指輪‥恋人からもらった指輪って薬指とかにはめるもんじゃないのか?」
今日の夕方にカフェで交わした蓮との会話を思い出して、あたしは一人ベットの中で笑った。
「だって泪は普通じゃないから。」
そう言ったら蓮はすごい変な顔してたなぁ。
思い出して笑える。
「普通じゃないって‥?どうゆうことだよ?」
「頭が人とはちょっと違うんだなぁ、泪は。」
そう自慢げに言ってやった。
泪は本当に普通の人とちょっと違う。
なんていうか‥感覚が違うんだと思う。
「ふーん‥。で、理由はなんでだよ?」
「教えてあげない。」
「‥あっそう。」
蓮は不機嫌な顔をしてモンブランにフォークをぶっ刺した。
ごめんね、蓮。
けどこれは教えてあげない。
人に話すのは恥ずかしいし、話したらなんだかこの指輪の価値がなくなっちゃいそうで怖い。
泪とあたしだけが知ってればいい。
まぁ、あの後蓮が機嫌なおしてくれて良かった。
最近の蓮はなんだかピリピリしてる気がする。
何かに焦ってるってゆうか‥
あたしには原因わかんないけど。
「泪‥ね。」
蓮と泪の話をしたせいか、その会話が糸口になってどんどん泪の記憶がよみがえってくる。
右手の中指には泪がくれた指輪。
くすんだ感じをわざとだした銀の指輪で、裏側に
Prefer me to the chocolate
って彫ってある。
まったくもって泪らしい。
「僕を選んで。チョコレートよりも」なんて。
1番好きなものは何?って聞かれて、チョコって答えたからだと思う。
あたしがそこでもう一つの大好物、キムチって答えてたら「僕を選んで。キムチよりも」になってたに違いない。
チョコレートって答えて良かった。本当に良かった。
キムチじゃロマンティックのかけらもない。