Lesson xxx 1-2
「どうする?教科の先生方には俺から話をつけた。後はお前だ」
周りから固められて逃げられるはずないじゃん!
「………わかった…」
私の選択肢はそれしかなかった。
「よーし!話は決まったな。明日から放課後に各一時間。帰りは遅くなるから家の人にちゃんと言っとけよ」
自分の思惑通りに事が進んで先生はご機嫌だ。
もちろん私は不機嫌。
やっぱ留年でよかったかもなぁ。
翌日の放課後。
「じゃあ先生が来るからしっかり教えてもらえ」
妙に嬉しそうにしている先生が憎たらしかった。
一人、ポツンと教室で待っていると数学の先生が来た。
まぁ、私のために放課後時間を割いてもらってんのも申し訳ないしちゃんとやるか。
そう思ったのも束の間、今までの遅れを取り戻すのは並大抵の事じゃない。
最初の一時間でそれを思い知って、次の一時間で自分の腑甲斐なさに涙が出そうになった。
そして三時間目。
机に突っ伏していた私の頭を誰かが叩く。
のろのろと顔を上げる私の前には榊先生がいた。
あー、英語は先生だった…。
「だいぶお疲れのようだが?」
もう返事する気力もない。
「まだ今日からだろが。しっかりしろ」
私の教科書を開いて目の前に突き付ける。
仕方なく受け取って先生を見上げた。