遠恋ーえんれんー-1
織姫と彦星は本当に幸せなのかな
「幸せだった」じゃないのかな
1年に1回だけ会える相手をちゃんと愛してるのかな
「愛してた」じゃないのかな
『遠恋』
4月。
まさに春真っ盛り。
あたしも大学4年に無事に進級できた。
学生最後の1年、とことん楽しんでやる気でいる。
あいつも元気にやってるのかな。
あたしの大切な人。
泪(るい)
泪とは高校1年からの付き合い。
高校卒業と同時に彼は夢を叶えるために行ってしまった。
あたしは千葉県。
そして泪は沖縄県。
遠距離恋愛、いわゆる遠恋だ。
沖縄でしっかり民族舞踊を学んでいるのかな。
珍しい男だよ、泪。
よりにもよって民族舞踊とは‥‥
まぁいい。
彼が望むように生きて欲しい。
そんな彼が好きなのだから。
寂しくなんかない。
あたしは大丈夫。
「美音ー‥‥美音!‥美音?」
みね‥‥
‥‥‥‥美音!?
あたしじゃん!
「ぐぁい!」
「‥大丈夫?大分ぼーっとしてたけど。しかもぐぁいって‥」
「ぐぁいは忘れて!‥‥‥‥うん、大丈夫。ちょっと睡魔と戦ってた」
「あ‥そ。大丈夫ならいいや」
危な。
一人感傷に浸ってる場合じゃなかった。