遠恋ーえんれんー-7
「本当の僕知ったら大馬鹿だってきっと君は言うんだろうな。」
「知らなくたって言うわよ。大馬鹿野郎。」
これは手酷い、と言って蓮はケラケラ笑った。
「それはそうと、さっきの話の続きだ。」
笑い終わった蓮が真顔に戻ってあたしに言った。
「まだ続くの?いい加減終わらせてよ。全何話続く気よ。」
「日本のテレビならだいたいのドラマは全12話だな。」
「ちょっと。あんた、切り返し面白いじゃない。山田くん座布団持ってきて!」
こうやってまたうちらは話がズレていく。
なんだかんだ言って仲は良い。
今は茜と付き合っているが、先に蓮と仲良くなったのはあたしの方が先だ。
入学式の時にあたしの携帯が鳴っちゃって先生に問い詰められた時に、とっさに隣にいた蓮に罪をなすりつけて‥
思い出して笑える。
結局うちら2人とも怒られて。
その後蓮にも怒られて、お詫びにあたしがご飯奢って、意気投合して。
そこに茜も入ってきて。
3人で行動してたのに、こいつら突然付き合いやがって。
まぁいいけどさ。
と。回想はここまでにして。
「‥泪が最近遠いんだ。」
突然あたしが呟いた言葉に驚いたように蓮が視線を向けた。
「やっと話したと思ったらそんなことか。そりゃ遠いよ、沖縄だろ。」
「んにゃ、そうゆんじゃなくて‥。なんつーの?気持ち的に遠いんですよ。」
「気持ち‥ね。」
ふぅん‥と蓮は頷き、興味なさそうに足元の石を蹴ってから、あたしに話の続きを促す。
「それは、彼氏‥泪さんと別れるってこと?」
「‥違う‥と思う。」
「なんだよ。曖昧だな。」
「曖昧で悪かったわね。けどわからないんだもん。」
「‥‥。」
「‥なによ?」
歩くのを止め、黙ってあたしを見つめる蓮。
何を考えてるのか全然わからない、不思議な表情をしていた。