遠恋ーえんれんー-6
「あー‥むかつくくらいいい天気だなぁコノヤロー」
学校からの帰り、一人で駅までの道をダラダラと歩く。
と。
「じゃ、さっきの話の続きをしようか。」
あたしの横に180を越す長身の男が並ぶ。
「‥蓮!?あれ?茜はどうしたのよ!?」
あれ?
こいつさっき茜と帰ったはずなんですけど。
「ちゃんと茜は駅まで送りました。茜は私鉄、君と僕はJR利用者だろ。」
「そーだけど。茜の最寄り駅まで一緒に行ってやればいいのに。どうせ2駅か3駅でしょ?」
「2駅だよ。今日は君と話す方を優先しただけだ。」
そう言って微笑む色男。
いかにも茜のタイプな、優しそうな整った顔。
長めのアシンメトリーの黒髪。
銀フレームの眼鏡。
一般的にみればルックスは満点。
だけど。
やっぱりあたしは泪が好き。
天然茶髪のふわふわヘアー。
髪の毛が長めだから一つに縛ったりして。
蓮と同じく眼鏡かけてるけど、銀フレームみたいに冷たい感じじゃなくて薄いピンク色の太いフレーム。
女の子みたいな眼鏡でしょって照れて笑う泪が好きで好きでしょうがなかった。
今は同じ台詞を誰に言ってるんだろう。
あたし以外にそんな風に柔らかく笑わないで欲しいよ。
「あ、そ。冷たい男だって嫌われてもあたし知らないわよ。」
泪の残像を掻き消すように、蓮に冷たく言い放ち大股で歩き出した。
「君はきついな。まぁ‥いっそ嫌われた方が楽かな。」
「は?何言ってんの?茜に嫌われたら死んじゃうくせに。馬鹿じゃないの。」
おかしい。
今日の蓮はおかしい。
嫌われた方が楽なんて言うタイプじゃない。