未完成恋愛シンドローム - 希望的観測 --13
「・・・ごめん」
「へ?」
何故か目を丸くするコタロー。
「だから、」
「?」
「テスト途中で抜け出したんやろ?」
「ああ」
コタローが、伸ばしたままにしていた脚をあぐらに組む。
「別に気にせんでえーよ」
「でも、昨日遅くまで勉強したんやろ?英語」
時間一杯までやれば出来た筈の問題もあっただろうに、ぶっ倒れたオレを運ぶために途中までしか出来てないとか、流石に申し訳なさすぎる。
「ごめん」
もう一度謝る。
「気にすんな」
手をヒラヒラと振りながら、コタローが言う。
「それより」
「?」
にっ、と笑ってコタローが顔を近付けてくる。
「イヴよりも点数取れたらって約束」
「・・・」
―ったく、コイツは・・・。
「覚えてるけど」
「倒れるまでに、どんだけ出来たん?」
記憶を辿る。
「半分かな」
「最高でも50点ってこと?」
―まぁ、そうなるわな。
「あんたは?」
「全部埋めた」
「へぇ」
普通に感嘆の声が漏れた。
いくらオレの調子が最悪だったとは言え、倒れたオレを保健室に運んでくるまでの間に問題を解き終わるとは。
ましてや自他共に認めるくらい、英語が苦手なコイツだし。
「伊達に遅くまで勉強した訳じゃないってこと?」
嬉しかったのかなんなのか、満面の笑みを浮かべてるコタロー。
「だから―」
―ちゅっ。
「んっ」
口唇に柔らかい感触。
「しよ?」
そう言って、コタローの手がズボンの中に入って来た。
・・・・・。
「ちょ・・こんなトコで」
「いつでもどこでもイイんちゃうかった?」
保健室の中。
オレとコタローの2人しかいない。
ベッドの置いてあるスペースは薄い壁で仕切られていて、仮に誰かが入って来てもすぐにはこっちは見えない。
―が。
流石にいくらなんでも、いつ誰が来るかも判らないような状況で、嬉々としてコトに及ぼうとしてるコイツは如何なものかと。
「イヴの乳首〜♪」
「アホ、ぁ・・・っ」
抵抗も虚しくカーディガンのボタンを外され、Yシャツとインナーをたくしあげられて露わになった乳首に、コタローが吸い付いて来る。
「むちゅっ・・ちゅぅ・・・ぴちゃ・・はむっ」
「んふ・・・そんな、吸っても・・・あっ、なんも、出ぇへ・・ふぁ」
―ぴちゃ・・
「そこやねんなー」
「?」
口唇を離し、コタローが言う。
「・・なにが?」
「ミルク出ぇへんもんなー」
指先で乳首を弄びながらアホなことをほざくコタロー。
「あんたな・・・」
「せやから、女の子になってや、今からでも」
なんか前にも言われた気がする。
「・・そもそも女の子やったら、あんたと仲良くなってたかどうかも判らんやろ」
苦し紛れに言い放つ。
「それに・・女の子やったらあんた、あんなムリヤリ―」
言いかけて、言葉が止まった。