アントランスミッション-2
けれど翌日、学校で彼女と話すとき、いままでに味わったことのない不安を感じた
言い様のない気持ち
彼女とずっと話していたいのに、話すたびに涙がこぼれそうになる
それは、いつしか激しい独占欲へと変わっていった
彼女のことはわたしがいちばん知っている
彼女にはわたしがいなくちゃだめなんだ
彼女はわたしの親友なのだ
考えるのは彼女のことばかり
ずっと話していないと
ずっと隣にいないと、どこかへ飛び立ってしまいそう
だから、わたしのもとへつなぎとめておきたい
そんな独占欲
それはまるで、恋、みたいな...
...恋
たどり着いたその一文字は、わたしのなにかを打ち砕いたような気がした
わたしが、女の子に、恋……
そうか、わたしはそういう人間だったんだ
気付いてしまったわたしは、自分が恐ろしかった
わたしは普通じゃない
わたしは異常な人間
わたしは、自分が気持ち悪い存在に思えてしかたなかった
しかしおさまらない情動
わたしは、彼女と話さずにはいられなかった
学校では、必ず彼女の隣にいられるように
そうして、家に帰るとはじまる自己嫌悪
自分は醜い人間
気持ち悪い人間
わたしは、彼女と話した数だけ、手首にキズをつけた
痛みを感じることで、まだ痛覚だけは正常なんだと感じることができたのだ