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今夜、七星で Yuusuke's Time
【OL/お姉さん 官能小説】

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今夜、七星で Yuusuke’s Time <COUNT2>-8

「雪が降ると70人が転ぶのだっけ?」

呟いたのは七星のバーテンダー、八代さんだった。
都心で1センチ積もると被害が出る、何て言う例えらしい。
雪に慣れてない、加えて人込みを掻き分けて歩く都心ならではの例えだろう。

12月も末、「そろそろ雪が恋しい」とアルバイトが嘆くが、「温暖化が進んでいるから諦めろ」と八代さんが笑って答える。「転ぶ70人に含まれてたまるか」との悪態も加えて。
そんな開店間際の店内で、つられて笑うが俺の心は重かった。
今日は金曜。
最近、週末が重たく感じる。
二人の女と関係を持ち続けて早一ヶ月。もうすぐクリスマスだ。


キラキラのイルミネーション、華やいだ恋人達。甘いカクテルに甘い台詞。吐息さえ甘くなれば即ベッドイン。
賑わう店内。金曜、本日のメインはオルガニストで作曲家のトーク&ライヴだ。


そんな中で忙しくとも音楽活動と七星の掛け持ち。
加えて金曜の樹里さん、土曜の椿サン。
立て続けにセックスする時もあれば、一回キリの時もある。
仕事もプライベートも忙しいと他と遊ぶ暇なんて無くなるのは、女関係もしかり。
二人だけでも多くて気が重いのに、他と遊ぶなんて出来やしない。
かと言って『据え膳食わねば男の恥』精神、は抜けないもので、そこに山が在るとついつい登ってしまうものだ。
そんなこんなで、結構へとへとだったりする。
金曜日なのに浮足立たないんだ。

「ユースケ、最近冷たくない?」
「そうそう、全然連絡くれないし。この際3Pでもいいからあそぼーよ」

八割酔っ払ったお姉さんが絡んでくる。
困ったように笑い、窘めるが面倒この上ない。
視線をずらすと樹里さんと椿サンがこっちを見ていた。


「ユースケ」


樹里さんの声で近付くと、
「今夜はあたし、でしょ?」
意味ありげに囁かれる。
樹里さんのこういった冗談はいつものことだ。
オープンでユーモアがあり、そして余裕。
隣にいる椿サンの表情を俺は見れない。
罪悪感でいっぱいだったから?

「……ああ。終わり次第いつもの所にいて」

頭を下げてテーブルを離れると、背中に突き刺さる視線を感じた。

嘘、そして罪。
案外重くて。
初めて胸が苦しいと感じた。


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