「憧れの走り屋」-1
「あの人の噂って知ってる?」
「礼子さんと言って、教習所の教官らしいよ」
最近越して来た女性を見て
走り屋に憧れる少女のナミが友達に言った
ナミは18歳
毎晩のように峠に
ギャラリーへ来ている
某峠
キィ〜〜〜!!
物凄いスピードでサイドを引いて
車を真横にして走る車
ナミはその車の走りのファンだった
どんな人が運転してるんだろう?
休憩の為にパーキングに入って来た黒のトレノ
何とドライバーは女性だった!!
女性でも、あんな凄い走りが出来るなんて…
ナミは教習所へ通う事を決意した
担当の教官は、ナント
同じマンションに住む礼子だった
「あら、あなたは同じマンションの…」
「私、走り屋になりたくて…」
「走り屋? あんな無謀な…」
話を聞くと礼子は、無謀な運転の車に
3年前に息子の命を奪われていたのだった
「走り屋になるなら、免許は取らせないわよ」
礼子の顔から笑顔が消えた
我が息子の命を奪った無謀な走り屋を
礼子はかなり憎んでいた
教習所では、学科が苦手なナミ
毎晩遅くまで勉強していたせいか
疲労で歯茎が腫れてしまった
近所の歯医者へ行くと
その駐車場に見慣れた黒の
86トレノが止まっていた