「憧れの走り屋」-2
「あっ!! この車!!」
そう、あの凄い走りをしていた車だ!!
診察の時に、パーキングで見た
あの女性が出て来た
「あの〜、外の車って…」
「あ〜、あれ? うふふ、私の車よ」
「私、あなたの走りのファンなんです!!」
「あら、嬉しいわ〜、今夜も行くから横に乗ってみる?」
「本当ですか!!」
その夜
待ち合わせの場所に爆音が近付く
かなり磨き込まれたピカピカの黒のトレノ
「普段は誰も乗せないんだけど、今日は特別よ」
その頃、教習所から
マンションに帰る礼子
その手には、花束があった
今日は息子の命日だったのだ…
シフトをローに入れると
ロケットのように走り出すトレノ
「さぁ〜!! 行くわよ〜!!」
彼女の走りは凄かった
コーナーがグングン近づく
ヒール&トゥーで、物凄い減速と同時に
タコメーターの針が一気に上がる
4速から3速、そして2速!!
タイヤが限界を超えて滑り出す
その瞬間、絶妙なステアリング操作で
カウンターを当てる!!
車はスライドしながらコーナーを抜けた