キミに不時着する日-2
「わわわわわわーわわ」
「え、なに」
なんでいきなりわーわー言い出すんだこのひと。
「負け犬の遠吠え、っていった」
「そうは聞こえませんでしたが」
「犬語でいった」
日本語で言えや!
キミに不時着する日
人は私を恋多き女といいますが、違うんです。
「恋じゃないんだよ。ただケツが軽いだけなんだよ、軽自動車並に」
「それあんまり軽くないし」
余計たちわるいし、とかなんとか言って彼は本を閉じた。本のタイトル、『十六歳、はじめてのチュウ』。なんだか非常に桃色な内容が予想されるタイトルだ。趣味わるい。
「で、どうするの」
「どうするもこうするも……振られました」
「それは知ってる」
「それ以上なにがある。振られた女にできることは、せいぜい綺麗さっぱり忘れることくらいさ!」