軟禁五日目―性欲、倒錯、異常な愛情-12
5. 我に返って
自分に凭れ掛るデミアンの背にそっと手を回し、リーナスは虚ろな瞳で呟いた。
「あれから――何日経っただろう」
何度も犯された。何度も口づけし、何度も咥えされられた。
一日が一週間にも思えるような、長い長い時間を過ごしていたような気がする。
それなのに、デミアンの身体はもう既に冷たくなっていた。
互いの頬を合わせると、何故か涙が流れた。
生きているというのは、時に残酷だ。苦痛しか与えられない生活でそれを実感した。
しかしそれ以上に、自分の目の前で人が逝くというのは――愛しいと思える人が逝くというのは、拷問の日々よりも、辛い。
そうなのだ――この男が愛しいと、今になって気が付いた。
監獄は静かだった。墓地のような不気味さを湛えて。
男の身体はすっかり冷たくなっていた。反対に自分の体は哀しいほどに温かい。
生きているということを実感した。
空腹で腹が鳴った。
ちらりと、男の持ってきたブリキ皿を見やる。
スープは辺りに散っていたが、器の中には辛うじてまだ少しだけ残っていた。手を伸ばし、指先にスープをつけて舐める。いつもよりも少し塩が利いていた。
「……今日で、五日目か」
一日に一枚だけ届くブリキの皿が四枚、部屋の隅に積み重ねられていた。