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桜が咲く頃
【ファンタジー 恋愛小説】

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桜が咲く前-4

『ちょっと、何!?
何で泣くのよぉ!?』
あわあわする小春。

鈴は泣いた。
泣いて泣いて─―



鈴は小春に礼を言うと、その場を立ち去ろうとした。

『ねぇ、待って!』
小春が引き留める。
『私アンタの名前聞いてなかった。
名前教えて?』

鈴は何かを言いかけ口を開いたが、一度閉じ、再び開き

『鈴…』

『りん、ね。
じゃあね、鈴!
矮助様によろしく!』

小春がそう言うと、鈴は寂しそうに笑い、どこかに消えた─―



数日後、小春は機嫌が悪かった。
というのも、最近ナンパがうまくいかないのだ。
『っあ゛〜!
もう、どうして皆こんな可愛い子をほっとくわけぇ!?
皆目ぇおかしいんじゃない!?』
っと自室で叫んでいると、使用人がやってきた。

『お嬢様…』

『何!?』
小春はイライラが納まらない。

使用人はビクビクしながら続ける。
『あっあの、お嬢様にお会いしたいとお客様がお見えです…』

『誰!?』

『やっ山村矮助様という…』

『矮助様!?』
小春は使用人の言葉を遮ると、顔を輝かせ、玄関にすっとんで行った。

『お待たせしましたぁ。
矮助様、どうなさったのですかぁ?
わざわざ会いに来て下さるなんて、私嬉しいですわぁ♪』
小春は辺りにハートを沢山飛ばし、これ以上ない程の甘ったれた声を出した。

『突然すみません。
実はお聞きしたいことがあって…』
矮助は少し疲れた声で言う。

『何でしょう?』
小春はにこにこしながら尋ねる。

『この間、この近くの神社で行われた祭りに行ったの覚えていますか?』

『えぇ、もちろんですわ。
矮助様と一緒で、私とても楽しかったですわ』
小春はその時のことを思い出す。
矮助と一緒にあちこちを見て廻り、本当に楽しい一時だった、っと幸せな世界に浸っていると
『あの日、俺と一緒にいた連れを覚えていますか?』

小春の幸せな世界が一気に崩れた。


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