bittersweet 2-5
「さかっ!!!!」
二人とも、俺の大きな声に、びっくりしているようだ。
「すいません、武村さん、俺!!さかの事、好きなんです!!」
「そやから、さかは、誰にも、譲る気は、ありません!!!」
精一杯、叫ぶ。
「さか!!!!めっちゃ好きや!!!!」
シーンと、静まりかえる、サークル棟。
「…ばかじゃ、ないの…」
ぽつりと、さかが、呟いた。
そう、いつもの憎まれ口をたたく、さかは。
ポロポロと、涙を零して。
「…結局、俺の入り込む余地、なし、ね」
ポンと、武村さんは、俺の肩を叩いて、帰っていきはった。
「さか」
「…なによ」
「ごめんな?」
「…うっさい、謝るな」
「今まで、いっぱい傷つけたやんな?」
「ちがっ…!私がっ」
そう言う、さかを、ぎゅっと抱きしめて。
ー今度は、間違ったり、せーへん。
「俺、今も、さかが大好きや、…傍におってくれる?」
さかの目を見て、そう囁いた。
さかは、真っ赤な顔で、ジーッと睨んだまま。
そして、返事の代わりに、俺にそっと、唇を重ねてきた。
唇を離して、涙を浮かべながら、恥ずかしそうに、にっこりと、さかは笑う。
「大好き、だよ、こーへい君」
―あかん。
俺、もう、とろけてまいそうや。
精一杯の愛を囁き、はにかむように笑う、さか。
それは、俺が今までで見た中で、一番、とびきり甘い、甘い、笑顔だった。