bittersweet 2-4
ああ、また、俺、さかを悲しませとる?
ごめん。
ごめんな、さか。
ほんまは、知っとったはずやのに。
こんな関係、さかが、傷つかんわけない。
俺が、さかを、他の人に渡したくない、だけ。
俺を、忘れんといてって、キスで縛り付けてただけや。
ほんま、どうしようもない、俺。
さかの、小さな背中を、抱きしめながら、今までの事を思い出していた。
あれから、いつのまにか俺らは、お互い眠りについていて、気付けば朝で。
そっと、家を出るときに見た、さかの寝顔には、一筋の涙の後。
なんともいえない気持ちになりながらも、講義を受ける。
「紘平!」
「あ、和也さん…」
よっぽど情けない顔をしてたんか、和也さんは顔を曇らせて。
「さかちゃんと、なんかあった?」
「えっ………」
「いい加減、素直に行動しないとさ、後悔するよ?」
見かねたように、和也さんは、言う。
「よく言うじゃん、大切なものは、失った後に気付くって。
でも気付いても、手遅れな事が多い中で、紘平はまだ、手遅れじゃないと、俺は思うわけ」
「…和也さん」
「過去にさ、色々あったのかもしれないけど、大事なのは、今、だろ?」
まずは、自分の気持ちを素直にぶつけて。
そうすれば、相手だって、素直な気持ちで、返してくれる。
そこから、また、始めればいい。
そう、和也さんは言った。
「そういや今日、また、武村さん、坂ちゃんに会いにきてたよ」
「…え?」
「ありゃ、送りオオカミになりそうだったなぁ〜」
「っっっ!!俺、行ってきます!」
「いってらっしゃ〜い」
全速力で、サークル棟にむかうと、さかと、武村さんが、真剣な顔で向き合ってた。