bittersweet 2-3
俺がふざけてると、大きな瞳でにらみ返してくる、さか。
気がついたら、手を伸ばして、抱き寄せてしまう。
そして、さかは、それを拒みはせーへん。
また、よりを戻そうって、言えばいい話かもしれん。
そやけど、さかは?
俺を拒まないのは、ただ、断れないだけやったら?
もし、戻ったとしても、同じ事、繰り返さへん?
また、さかを、傷つけない?
全然年上らしくもない、いっぱいいっぱいの俺。
色々言うてても、結局ほんまは、自分が傷つきたくないだけ。
一番ずるいのは俺やわ。
そんな俺が、いっちょまえに、武村さんに、嫉妬とか。
もう彼氏でもない俺が、しゃしゃり出てええんか。
グルグルと、色んな事を考えてたら、結構酔いが回ってもうた。
酔いで、少し素直になった俺は、さかの家にフラリ。
年上のくせして、甘えたな俺を、さかは仕方なしに、あげてくれた。
まぁ、結構怒っとったけど。
ツンツンしながらも、結局は俺に甘い、さか。
そんな猫舌の彼女は、フーフーしながら、甘いコーヒー牛乳を飲んでる。
ジーッと、見つめながら、そおっと近寄って、名を呼んでみた。
ふいに顔をあげたさかは、めっちゃ近い距離にビックリしたのか、固まっている。
…子リスが、敵に見つかって、固まったみたいや。
漆黒のまんまるい瞳が、クリクリと、かわいらしい。
その真っ黒な瞳には、俺が映っとって。
―その瞳にうつるんが、俺だけやったらええのに。
そう願いを込めて、そっと、唇を重ねる。
重ねるだけのはずが、それだけじゃ足りんくて。
もっと、もっと、もっとって、欲張りになる。
思わず、好きやって、言いそうになるのを、なんとか堪えて。
唇を離して、ボーッとするさかに、キスのおねだりをすると。
少し潤んだ瞳で見つめながら、そっとキスしてくれた。
かわいいかわいい、さか。
一生懸命睨んだって、ちーっとも怖くあらへん。
ほんまは、愛しくて、仕方ないんや。
それを伝えたら、さかは、どんな顔するんやろ?
そんな事を考えとったら、急に武村さんの話になって。
なんか、頭が真っ白になってしもうた。
それ以上聞きたくなくて、無理矢理、唇で塞いだ。
苦しさを訴えて、涙ぐんでいたさかの瞳は、悲しみで曇っていて。