bittersweet 2-2
当初、俺と『さか』が付き合いだしたときは、えらいみんな驚いた。
色んな先輩に、えらいめに合わされたなぁ…。
結構内心、みんな、さかの事を狙ってたらしい。
さかは、基本的に、あまり愛情表現とか、苦手なタイプで。
二人っきりやっても、甘い言葉は中々貰えなかった。
もう、人がおる前とかでは、ほんまに俺の事好きなんか?って思うくらい、そっけない。
最近流行?のツンデレってやつ?
…いや、あれは、ツンツンツンツン…デレ?くらいや。
その、さかが唯一、俺の事好きって感じる時。
それは、さかが俺にキスしてくれるときや。
見上げながら、俺に捧げるようにキスする時だけは、きっと、俺のものや、って実感できた。
まぁ、基本的には、他の男の先輩とかにも、冷たい感じなんやけど、俺には更に、手厳しくて。
さかなりには、俺の事好きでいてくれてたんやろうけど、自信はあまりなかった。
…きっと、上手く表現できんくて、悩んでたんやろな。
なのに、あの日、それを分かっとったはずやのに、俺は言うたらあかん事を、さかに言うてしもうた。
―ほんまに、俺の事好きなん?
そう言ってしまった時の、さかの顔が、今でも忘れられん。
一瞬、ハッとなって、泣きそうな顔して、俯いてしまって。
小さい声で、「もう、やめよ…」って、呟いた。
あれから、俺らは、何もなかったかのように、先輩と後輩の関係に戻った。
はずやったやけど。
たまに、フラリと、さかの家を訪れたり、さかが、ゴハンに呼んでくれる。
俺の大好きな『さか特製オムハヤシ』
あれを初めて食べた時の衝撃は、忘れられへん!
俺の好きなオムライスと、ハヤシライスを合体させるやなんて。
そんな無敵のタックを知らずにおった20年間、誰か返して欲しいわ。
たまに、そうして二人で、オムハヤシを食べて。
音楽について語り合ったり、中々話は尽きない。