魔性の仔〜Prologue〜-4
──健忘症で指先が上手く使えないのか?
刈谷の手が服のボタンに触れた。首元からヒザ下に連なるボタンを、上からひとつづつ外していった。
「なッ!」
3つ目を外した時に刈谷は驚いた。少女は下に何も着けていなかった。
思わず指先に力が入り、ボタンを外す手がぎこちなくなる。露になっていく美しさに刈谷は釘付けになった。
きめ細かで透明感のある肌。しっとりとした感触だと触れなくても分かる。
肌は胸元から腹部、そして下半身へ。刈谷の鼓動は速くなり、掌が汗ばんでいく。
──やっぱり…下も穿いていない。
ボタンが外れ、開かれた生地の奥に少女の下腹部から恥丘辺りが目に映った。上と同様に下着をつけていない。
焦りながらボタンを外す刈谷に対し、少女は意に介した様子も見せずに笑みを湛えている。
すべてのボタンが外された。少女は服を取りさり、刈谷の前に裸体を晒した。
──なんと…。
息を呑む刈谷。
燃えるような髪色が胸元に掛る。木芽の様に、わずかに隆起した胸。細くて薄い腰元。そして、腰から足に掛けて流れるような曲線。
すべてを見た刈谷は、その美しさに、しばし呆然となった。まるで、素晴らしい絵画でも見たように。
だが、それは現物である。
視線が面前にある少女の下腹部に向いた。少し赤らんだ秘部は恥毛も無い。
そこから漂う身体の匂いが刈谷の鼻孔に届いた。
──何を考えてんだ!こんな中学生くらいの娘に。
久しぶりに嗅いだ──女─の匂いに刈谷は興奮を覚えた。
「…さ、さあ、これで良いな」
異常な考えを自制し、脱衣所を出ようとした刈谷の腕を彼女は掴んで止めた。
「…お、オイッ…」
少女は腕を引張り、風呂場へと連れて行こうとする。困惑した刈谷は、彼女が何を言いたいのか分かった。
「い、一緒に入りたいのか?」
せがむような顔で頷く少女。刈谷は躊躇いの表情を見せた。
──困ったな、こりゃ。ただ、このまま放っといても、入らないだろうし…。
「分かった。一緒に入るから、ちょっと待っててくれ」
刈谷は再びリビングに向かい、少女と自分の着替えを持って戻った。
服を脱ぎ、ガラス戸を潜った2人はバスタブに浸かった。少女は安心しきったように、刈谷に背を向け身体を預ける。
赤い髪から甘い香りが漂う。首筋から肩にかけての艶やかさ。──しゃぶりたい─と、思わず頭に浮かんだ。
刈谷の手は、いつしか少女の腰を抱いていた。
「温まったら身体を洗おうか?」
バスタブを出て、刈谷は少女をイスに座らせた。彼はタオルを濡らし、石鹸をこすりつけて泡立たせ、彼女の背中に回った。
肌は湯に温められて赤みがさしている。背中のおうとつ具合が、ムダの無さを表していた。
刈谷は、そっとタオルを当ててうなじから肩、背中を伝って脇腹を、そして腰周りへと手を伸ばす。
細い腰は背中とは違い、ほど良い弾力だと刈谷は思った。