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密心
【ファンタジー 官能小説】

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密心〜みそかのい〜-2

後悔なんてしないはずだった

――なのに今してるのは何
――後悔?
――これが、後悔?

花街から逃げたいなんて思うはずない
だってみそっかすのころから一度も思ったことすらないのに

――なのにどうして?
――今すぐにでも蔵ノ介さまのもとに行きたくてたまらない
――すがって、すがって、私を選んでと言いたい
――もう一度でいい、私を選んで、と
――そうすれば私は…
――私は…?

挙動が不審になった私を心配なされたように、こちらを伺う牡丹花魁すらも気づかえぬようになるほど、不安に胸押し潰される


―――やだ
――いやだ

あの方が私以外を愛でる可能性なんて、ずっと見てみぬふりをしてきた

なのに……っ

つきつけられてしまえば私はこんなにも脆くなってしまう


「牡丹、姐さん……!」
吐き出す言葉にはすでに涙の色が滲んでいた

「…みそか……?」

伺われる声に泣き出してしまいたい

「どうしよう、どうしよう私……私…蔵ノ介さまを……もう…っ」

廓詞も使い忘れるほど取り乱した私を牡丹姐さんは抱き締めて言った

「……それが答えなんよ、みそか」

これが答えなら……私はもう知っていたはずだ

きっと見ないふりをしていただけで



確かめなくても、もうわかる

胸に秘められぬほどの思い

これこそが牡丹花魁の言う通り……私の答えなのだから


今度は、――間違えない

――間違えたりしない

今度があるかなんてわからない
それでも祈るように思う

どうか、どうか……と


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