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春に生まれた彼女へ
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本日、晴れのち、晴れ!-2

朔と、初めて会ったのは、高校の入学式だった。


つまらない校長の挨拶やら、お偉い先生の長い話に、飽き飽きしながらも、なんとか俺は睡魔と戦っていた。
ふっと、後ろにある保護者席に目をやる。
…やっぱり、来てはいない、か。

昔から、両親は仲が悪くて、しょっちゅう喧嘩。
今日だって、朝、喧嘩していたっけ。

大体、仲裁に入るのは、いつも俺の役目。

子どもの頃の俺は、いつもふざけて、ヘラヘラと笑い、その場を和ませようと、必死だった。
いつからだろう、それが身に染みついてしまったのは。
いつのまにか、どこか剽軽でお調子者、というのが、『天野弥勒』になっていた。

まぁ、そんな自分にも慣れたけれど。

そう思いながら、ふと、目を横にやる。

隣で気持ちよさそうに眠る、そいつは、春の日差しに微睡んで、ウトウトしている。
…ずいぶんと気持ちよさそうに寝るなぁ。
あまりにも気持ちよさそうに眠っているから、気がつけば、俺も眠ってしまっていた。



新しい高校生活が始まって。
持ち前の明るさで、くだけたお調子者として、俺はすぐにクラスに馴染めた。
入学式で隣だった奴は、同じクラスで、望月 朔哉、というらしい。


望月は、いつもぼーっとしていて、あまり表情に変化はない。
無理に人には合わそうとはしない、マイペースな奴のようで、時々フッといなくなる。

そんな望月を羨ましく思う反面、いつもヘラヘラしておちゃらけている俺は、どこか必死で、それを望月に見透かされているようで、怖かった。


いつも明るくて元気、悩みもなーし!な、はずの俺にも、疲れて一人になりたい時だってある。
今日も、朝から喧嘩の仲裁。
ヘラヘラと笑いながらも、母親を宥めていた時。


「アンタはいいわね、悩みもなさそうに、ヘラヘラと。」

「あはは〜!悩みがないのが悩みかも〜」

そうおどけていたら。

「そのヘラヘラ笑いされると、余計にイライラしてきたわ」


そう吐き捨てながら、母さんは、仕事に出かけていった。


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