言ってほしかったかも-4
『あ!数学はありがとうございましたぁ!』
『あのな、人の好意には早く気付け』
『仕方ないやんかぁ…ってか睨まんでもよくない!?』
『先生が俺を睨んでたの。見せてるのバレバレやったみたいやから』
『ホンマに? ならごめん』
『気にしてへんけど授業中何考えてたわけ?』
そう言う暁の顔はすっごくニヤニヤしてた。まるで俺のことやろ。と言うように。
『べっつにー。暁のことじゃないのは確かやな!』
『ふーん。あっそ』
暁はまだ勝ち誇った顔をしていた。ホンマに暁のこと考えてたから言うに言い返せないのが辛い。
『てか、さっきなんの用やったん?』
『あー…怒んない?』
『何が?』
『これから言うことに』
『場合による』
『じゃー言わん』
『うそやってぇ!怒らん!ホンマに!』
『……っと…コクられた…』
『…………マジ?』
心臓がドクンっと大きく撥ねた。暁がコクられるのは昔からよくあったことだし、慣れてたけどここ最近は全然だったから。