『スイッチ』side boy-6
「あたしも好き、です」
――柳木信之介が好きです。
はにかみ顔で、上目遣いは反則だ。
神様、さっきの願い事は叶えちゃだめ。都合がいいって罰が当たってもいいから。
「夢、じゃないよね?」
実はとっくに夢の中で、こんな素敵な夢に逃避してるんじゃないのか僕は。
たぶん、ものすごく情けない顔をしてたんだろう。ぷっとふきだしたゆきちゃんが思い切り僕の頬っぺたをつねりあげる。
――まじで痛い。
それはもう、涙が出てしまうくらいに。
うるさいくらいにどくどく脈打つ心臓と、つねられた頬の痛みがこのままずっと続けばいい。
「よろしく、オネガイシマス」
潤んだ瞳でそう言われたら、オネガイシマ『ス』の唇に触れずにはいられなかった。