密心〜しののいの〜-2
「なんもありんせんよ、みそか。それよりあちきの今日の旦那はどないな方でありんすぇ?」
「――あ、その牡丹姐さんの右の手にある簪の君にございんす」
「……そう」
この簪の方、は蔵ノ介の使いだ
わざわざ遠回り染みた真似をして、使いを送るだなんて余程切羽詰まってるらしい
またあの弟は何を思ったか
みそかも……早く手折られてしまえばよいものを何を戸惑うか
もう決まっておろうものを
焦れったい二人は欲を受け入れすぎた私には眩しすぎていけない