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Letters〜白き花からの手紙〜-1

小さい頃から毎日届く
あの手紙。
内容は私を励ますもので
朝に届いている。
見るたびに少しだけ元気になる。
誰なのかはわからないけど
ひとつだけわかる。
あの時からだ。


ある日、風船をなくした私は
なりふり構わず泣いていた。
そんな私に花をひとつ。
手の中からぽんと出した。
カラフルな顔のペイント、
赤い鼻。ピエロさんだ。
私はその顔を見てまた泣いてしまったけど、
花を渡し、こう言った。
「大丈夫。僕が君の涙を吹いてあげるから、泣かないで」
そう言って去って行った。
声が優しくて、安心した。
それ以来、なんとなく
泣きたくなるとその人の声が
聞こえてくる。


誰なのか知りたくて
朝から玄関前で待ち伏せした事も
あったが、いつのまにか手紙が入っている。
だから、ピエロさんだから手品?
と思うようにしている。

ある日、ピエロさんにもらった
白い花をなくした。
御守り代わりにいつも持っていたのに…

ただそれだけなのに
涙が止まらなくなった。
部屋でずっと泣いていたから
家族も心配してた。

窓の方から音がした。
コツンって。
カーテンを開けたら
あのピエロさんが家の前にいた。
すぐに階段を降りて、家を出た。

「どうして、分かったの?」

私がそういうと

「泣いてる子を見つけるのは得意なんだ」

あの時と同じようにピエロさんは
私に白い花を一輪くれた。
私もあの時と同じように
泣いてしまった。

「君は変わらないね。ちっとも。」
「違うもん。背だって高くなったし、髪も伸びたし、胸だって…大きくなったもん。変わったよ」

「泣き虫は変わってないね」

「うるさい」

「見つけた、ひとつ」

「何を?」

「君の変わった所」

「強がりになった。泣きたい時は泣けば良いのに」

―違うよ、ピエロさんがずっと
そばに居たから―

「じゃあね。花、失さないでね。」
「今度、いつ来るの?」

「君が泣いた時、かな」

そう行ってピエロさんは
去って言った。

強がりでいいよ、泣きたい時におもいっきり泣くから。
そしたらまた、あなたが来るから。
たまにでいいけど、ね


心の声で話しかけた。
郵便受けをみたら、手紙が入っていた。

“そんなに強がりだとモテないよ”

聞こえてたみたいだ。


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