cure side-Akito-6
「ねぇねぇ、あっくんと理乃が映ってるよ」
俺の物思いをよそに、手を繋いだ春日ははしゃいでいる。
ショーウインドウに映る俺と春日。
……全然似合ってねー…。
『月とスッポンだな』
さっきの言葉が頭を巡る。
そんな事わかってる。
誰に言われるまでもなく自分が一番。
「あっくん…?」
「春日…。俺達って似合ってないよな…」
ショーウインドウを見据えながら呟いた。
「えっ?」
似合ってなくても俺は春日が好きなんだって開き直れたらどれだけ楽なんだろう。
「なー、喉乾いたな。何か飲もうよ」
「うっ、うん…」
努めて明るく言うと春日はギクシャクと頷いた。
俺の変な雰囲気を察したのか春日の顔に時折翳りが浮かぶ。
俺の自信のなさが春日にそんな顔をさせてるのか…。
浮かない横顔に思わず声をかけた。
「春日?」
「えっ…?」
どうして俺なんだ…?
そう聞きたい気持ちになって口を開こうとしたけど結局言えなかった。
「あっくん。……理乃に何か言いたいなら言って?」
春日に言いたい事…。
「春日…。もう止めよう」
春日の気持ちも、自分の気持ちも信じられずにいる俺。
『月とスッポン』
それで上手くいくはずなんてない。
「俺、春日に全然似合ってない。俺と春日なんて…変だろ?」
そう、春日にはもっと似合うヤツがいる。
『月と星』ぐらいにさ。
「理乃は…そんなの考えた事ないよ…。ただ、あっくんが好きで…一緒にいたくて…それがあっくんにはだめな事なの…?」
震えた声の春日になぜか苛立った。
「…春日は俺のどこがいいんだ!?春日は俺を好きって言うけど…俺にはわかんないよ…」
八つ当たりなのはわかってる。
春日の気持ちを受け止められないのは俺が自分に自信がないから…。
俺ってサイテーだ。