cure side-Rino-2
「そーんなの、とっくの昔に別れたもんねっ。だって全然キュンッてこないんだよ?」
「何、威張ってんのよ」
由香が理乃をこづいた。
「せっかく紹介してあげたのに1ヶ月も保たなかったんだよ?信じられる!?」
由香の言葉に忍が苦笑いする。
「で、小川にはキュンッとやらになったって事?」
「信じらんない。小川って地味じゃん。それのどこがキュンッなんだか」
忍と由香が同時に口を開く。
一斉に聞かれても理乃は一人なんだから両方に答えられないよ。
「小川くんの良さが二人にはわからないでいいのっ。わかったら取り合いになって友情も破滅しちゃうんだからねっ」
「理乃ってバカ!?」
由香の暴言に忍もコックリ頷いた。
もう、もうっ!
二人とも、小川くんをあんな風に言うなんて信じらんないよ。
でも、理乃だけがわかってればいいんだもん。
「小川くん!」
理乃の呼びかけに顔をあげて微笑む。
うん、やっぱりこの笑顔好きだな。
どうしてこんなに胸が暖かくなる笑顔が出来るんだろ。
「今日ね、一緒に帰れる?」
「いいよ」
やったぁ!
早く授業終わんないかな。
「じゃあ、由香、忍、バイバイ」
まだ渋い顔の二人に手を振って小川くんの席まで行く。
理乃を見た小川くんは友達に冷やかされながらも理乃と一緒に教室を出てくれた。
「小川くんと帰れるなんて夢みたいだな」
理乃がそう言うと小川くんは恥ずかしそうにする。
「春日は大げさだよ」
春日だなんて他人行儀な。
「ねぇ、理乃の事、名前で呼んでよ」
「ええぇー!?」
そんなすっとんきょうな声出さなくても…。
「だって、呼んでほしいんだもん。理乃も小川くんの事名前で呼びたいし」
「いやっ、それは…恥ずかしいだろ…」
「何で…?」
理乃の必殺上目遣い。
ちょっと目をウルウルさせるのがコツ。