「蝶」-1
ボクはタトゥーのアゲハチョウ。
タトゥーだから、描かれたら死ぬまでその人と一緒さ。
今日から、オレのご主人様は、この綺麗な女性だ。
内ふとももにオレは描かれた。
一生、この人と一緒さ。
仲良く頼むぜ。
あれ?
気付かなかったけど、もう一つの内ももにも
アゲハチョウのタトゥーが…。
女性には小さな娘が居た。
「ママ〜、こっちの蝶も凄く綺麗だねぇ〜」
「でもね、こっちはシールなのよ…」
そのシールの蝶に、ボクは恋をした。
彼女もボクを好きになってくれた。
翌日、ご主人がおでんを食べていた時に事件が起きた。
熱い!!って声と同時に熱いちくわが、彼女の上に…。
彼女と足は火傷をした。
治療の為に、タトゥーシールの彼女を医者は剥がした。
その時、娘が泣きながら言った。
「あの綺麗な蝶のシールをまた買ってよ〜!!」
泣きじゃくる娘。
女性はボクの横に、今度は本物の
彼女そっくりのタトゥーを入れてくれた。
タトゥーの彼女に、ボクは笑顔で言った。
「おかえり〜!!」 【完】