僕らの関係 残るヌクモリ。-36
「あ、あああん、イク、いっちゃうー」
「恵、僕も、一緒に……!」
膣内部に陰茎とは別の熱さを感じる。膜越しに感じる脈動は力強く、吐き出す度に大きくなるモノに、意識せずに膣が締め付けを繰り返し、それを促す。
四回ほど大きくうねり、五回ほどぴくりと動いたあと、彼はおとなしくなる。まだ息は荒いものの、肌で感じる彼の心臓の音はやがて整い始める。
――あたし、いかされたっぽいわ……。
女らしい声で、女らしく身もだえ、女らしく男を感じる自分。
身体の正直な反応に、恵は少しだけ泣いた。
***―――***
「恵、痛かった?」
「なんで?」
「だって、泣いてるもん」
「うれし涙。幸太が男で、しっかりあたしをリードして、しかも満足させてくれたから」
恵は唇の端を歪ませると、髪をくしゃくしゃとかきむしる。
「痛いよ恵……、もう……」
行為が終わればいつもの二人にもどれるのだろうか。幸太には恵が無理をしているようにも見える。一体何を隠しているのかはわからないが。
「なあ幸太……、あたしがもし男で、幸太が女の子なら……」
「なら?」
「好きになってくれたかな」
「うん」
「俺の子、生んでくれる?」
「幸恵ちゃんなら、生みたいっていってくれるよ」
「そっか、そうだな……」
「恵は女の子だし、僕は男の子なんだし、問題ないじゃん」
「世の中、複雑なんだよ。つか、由香はどうなったんだ?」
「今は、僕と恵だけ……」
「そっか、そうだな……」
薄れ行く意識の中、幸太は陰茎を強く握られた痛みと、「……ましい」という声だけを感じていた。