僕らの関係 残るヌクモリ。-32
「幸恵の、小さいね……」
「これから大きくなるもん」
拗ねた調子は里奈の真似。彼女は小指も噛んでいたかなと思い、演技に後付ける。
「ああ、俺がたくさん揉んでやる。そしたら今にずっと大きくなるよ……」
本当に大きくなったら困るのだが、幸恵は恵のしたいようにさせた。
今日二度目となる学芸会に応じたのは何故だろう。
寂しさを感じたから。
それ以外に思いつかない。
恵は目の前にいる。にもかかわらず、何故寂しいのだろう。答えはすぐにわかる。
襖の奥で寝息を立てている彼女がヒントをくれているから。
「ね、ゴムつけていい?」
「ナマでやりたいな。今日安全日だし、いいだろ?」
「ダメ。あたし達高校生なんだし……」
「ちぇ、幸恵は固いな……しゃーない、つけますよーだ」
幸太はパジャマの胸ポケットにしまっていた箱から、包みを一つ取り出し、いきり立つものに被せる。
――これ、なんだか自分のって気がしないや。
自分の手で自分のモノに触る。日常生活でも普通に行うはずなのに、今だけは女子の目線にたって陰茎にゴムを被せている気持ちになり、手元がふらついてしまう。
「なれないもの呑むから……」
「なによ、恵が勧めたんじゃない」
酔いのせい。そう思うと、女性的な口調もすらすら出てくる。
手元が狂い、ゴムが破れてしまう。幸太はもう一つ包みを破り、今度は綺麗に被せることが出来た。
その間、恵はジャージの上下を脱ぎ、ティーシャツとショーツ姿で待っていた。
「がんばれ」と大きく書かれたティーシャツは中学のころに見たことがある。たしか、試合のときのげん担ぎだった。
続いて目が行くのは、当然オヘソの下。ボクサーパンツのような、グレーで色気の無いショーツは残念だが、恵らしいと幸太は少しだけ笑ってしまう。
「あ、今笑ったな? 俺のこと……」
「ゴメン、恵……。お詫びに口でしてあげるから、許して……」
しなを作る仕草は里奈譲り。幸太は口でショーツを下ろし、生い茂る密林を唇でかき分け……、
「んあ……っ!」
甲高い声で叫ぶ恵は、上半身を折り、幸太の顔を抱きこみ、苦しそうな息を漏らす。
「恵、痛い?」
「んや、いい……、続けろ……、はぁ……あくっ! んはぁ……や、そこ、ダメだ、俺の、敏感……で、え、あぁ……」
幸太の舌が恵の陰唇をなぞると、さらに彼女は身体を打ち震えさせ、身悶える。
抱いている姿勢からやがて寄りかかるようになり、舌先が割れ目をうがつ頃になると、すっかり幸太を押し倒してしまう。