僕らの関係 残るヌクモリ。-3
「じゃあ、するね……はむちゅ……んむ、ふむ」
今日は久しぶりに口でしてあげたくなった。本当は酸っぱさと尿のイヤラシイ臭いの混ざるものを咥えるのは苦手な彼女だが、今日は彼の家なのだし、シャワーで洗い流してからしても良い。ただ、青臭い男の臭いを嗅ぐと、口での奉仕をしたくなる自分が居た。
――パブロフの犬? 牝犬ね。
彼女が好きなのは濃厚なバラの香り。母親のお古の香水ぐらいしか種類を知らないが、たまに隠れて使ったりもする。ただ、そんなときに限って雨が降ったり、体育の授業が重なったりと、あまりその恩恵をあやかれたことも無い。それに肝心の幸太は気付かず、代わりに生徒指導の先生に顔をしかめられた程度。
「う、うう、由香ちゃん……」
幸太はいつものように低い声で喘ぐ。しかし、陰茎はいつものような固さが無い。
それに汁のでも悪い。さっきから卑猥な音を立てているのは、自分の唾液と空気の摩擦のみ。
――きっと勘違いよ。よくないよね、考えすぎるのって。
由香の中で違和感が大きくなる。それがどういうものなのかほんのり臭うものの、残り香を辿るには情報が少なすぎる。
思慮深いのは彼女の長所であり短所。また、その根底が直感によるものでしかないと本人も自覚している。今回もただの考えすぎと、彼女は耳にかかる髪をかきあげ、熱い視線を投げかける。
「んふぅ、きもちいい? 幸太ちゃん」
「うん……、すごくいいよ」
「嬉しいな……、んー……んはぁ」
亀頭を舐っていた唇を離し、そのサオを軽く扱く。
「どうしたの? なんでやめちゃうの、僕まだ……」
「顎、疲れちゃうから……」
本当はまだいける。あの青臭い白い濁り汁を吐き出す彼を見たいのになぜだろう、どうしても続ける気が起きない。
「そう……」
幸太の寂しげな言葉を聴くとやるせなくなる。代わりに手の動きを早めるものの、ぶよぶよした彼のものは、あまりレスポンスが良くない。
「そうだ、いいこと思いついた」
「なに?」
「あのね、この前調べたんだけどね、セックスしなくても二人が気持ちよくなる方法ってあるみたいだよ」
調べるというのは何をもって調べるのだろうか? 携帯のアダルトサイトでものぞいているのだろうか、それとも男性情報誌だろうか?
「ペッティングっていうのでさ、由香ちゃんのアソコと僕のを擦り合わせるだけ」
「本当? そのまま入れちゃうつもりじゃないの?」
「そんなことしないよ。なんなら由香ちゃんはパンツ穿いたままでいいよ」
いつもの彼ならきっと真っ赤になる。しかし、今の彼は由香を気遣う余裕すらあり、不適な笑顔で彼女の肩を掴む。