僕らの関係 残るヌクモリ。-16
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話を聞くところによると、恵が自分の家の鍵をなくしたらしい。おそらく着替えの最中に紛失したとのことだが、彼女の両親は泊まりの仕事らしく、家に入れないらしい。
由香に連絡したところ、彼女は母親と一緒に祖母の家に行っていたらしく、里奈も都合の悪いことに親戚が泊まりに来ており、部屋がないとのこと。
途方にくれた恵に美雪が「家に泊めてあげる」と申し出ると、持つべきものは頼りになる先輩とばかりに揉み手をしつつ美雪にへつらった。
しかし、彼女はある条件を出した。それは幸太の家に行くこと。
「僕の家に泊まればいいじゃない?」
「やーん、幸太君のエッチィ! 年頃の男女が同じ屋根の下にいたらマチガイがおこっちゃうわー」
嬉しそうに呟く美雪は正直ウザイ。可愛らしい顔立ちがその傍若無人な振る舞いに拍車をかけているのだろうか、そこも里奈に通ずるところがあり、自分はやはり控えめに自分を支えてくれそうな由香が好きなのだと思い直す。
「でも、丁度よいね。僕、今から塩ブタに挑戦するんだけど、二人も食べていってよ」
幸太は買い物袋からブタ肉の塊と料理酒を出す。
「ん? あれ、幸太酒飲むの?」
「え、違うよ。料理酒……あれ? 僕、こんなの買った覚えないんだけどな」
カゴにはしっかり料理酒を淹れたつもりが、何故か「濁り酒・日和見」とラベルのされたビンがある。
「まあ、私達を酔わせてどうするつもり?」
「違いますよ。僕は別に……」
「あたしは別に平気なんだけどな」
「ちょっとケイ、お酒は二十歳を過ぎてからだよ?」
「堅いこと言うなよ。っていうか、硬いのはチ○コだけにしとけよ?」
「幸太君の、固いの? そうなの?」
「しかもこいつ、包茎なんですよ」
「うっそー、可愛い!」
「ケイ! あんまり変なこといわないでよ。それに僕、包茎じゃないよ」
最近はしっかり剥いている。たまに気を抜くとまた包皮を被ってしまうが、由香とのいけない放課後の為に、常に清潔を保つように心がけている。
「そうなの? なら見せてくれよ?」
「なんだよケイったら……。僕だって怒るよ!」
「はいはい、また泣かれても困るし、この辺にしとくよ」
「え? 幸太君が泣いちゃったの? どうして? どんな風に?」
「それはですね……ごにょごにょ……」
「ああーん、もう、私も見たかったー!」
「え、そうですか?」
さすがの恵も美雪の反応には次第に引き始めている。彼女は幸太の背後に歩み寄ると、ぼそりと呟く。