僕らの関係 残るヌクモリ。-14
***―――***
初戦を白星で納めた相模原も続く二戦目ではあえなく敗退した。
選手層の薄い相模原に対し、相手校はシードで体力を温存しつつ、試合中もしっかり観戦し、対策を立てていたようだ。
基礎力が互角にも関わらず、手の内を読まれている相模原は苦戦を強いられ、しかも恵がファイブカウントを取られて退場になる始末。
積極的に相手チームのプレイヤーをマークしていたのがあだになったのだろう。
うなだれる相模原陣は顧問がいくつか訓示を述べると、コートに一礼をして体育館を後にする。幸太はぐうと鳴るおなかのチャイムを聞くと、お弁当を届けようと席を立った。
***―――***
「わー、これ全部幸太君が作ったの? 私のために? ありがとうね」
「どういたしまして……」
てっきり落ち込んでいると思われた美雪だが、幸太の顔とその豪勢なお弁当を見ると、目を輝かせて歓喜の声を上げる。それは恵や他の部員も同じであり、食堂のテーブルに広げられたお弁当にゴクリとツバを飲む。
「へー、恵の彼氏って器用なんだな」
一試合目で逆転勝ち越しのスリーポイントシュートを決めた橘薫子がふむふむと頷く。
「やだなあ部長、コウはあたしの彼氏じゃないですよ」
「そうだよ。幸太君は美雪のペットだもん。ねー」
せめて彼氏といってもらいたい幸太だが、反論したところで誰も聞く耳を持たないだろうと飲み込む。
「違いますよ。先輩、コウの彼女は由香っていう子ですよ」
「由香? ああ、あの可愛くない子? もう、幸太君もあんな怖い子とさっさと別れちゃいないよ」
別れるも何も付き合ってはいない。ただし両想いではあるハズ。少なくとも自分は由香を求めているし、彼女もそれを受け入れる約束をしている。
ただし、自分は裏切りに近い行為をしてしまった。
焦らされたから、誘われたから……。
言い訳はいくらでも思いつくが、どれも正当性が無く、ただ煩悩に流されただけでしかない。
「それより阿川先輩、おなかすいてるでしょ? 試合中も大活躍でしたし、どんどん食べてくださいね」
「やーん、幸太君やさしーいー!」
一々リアクションの激しい彼女は里奈に通ずるものがある。それでも食べているときぐらいは静かだろうと、幸太は紙の皿を渡す。女子とはいえまだまだ育ち盛りで、しかも顧問の「ガッツり食え」の一言に皆黙々と食べる。
一キロあった鳥のから揚げも、ジャガイモ六つ分のポテトサラダもどんどん無くなっていき、だしまき卵は幸太の分すらない。もっとも、彼女達のあまりの食欲を見せつけられた幸太は、見ているだけでおなか一杯になってしまい、箸も進まない。
「幸太君……あーん」
隣を見ると美雪がスプーン片手にクリごはんを差し向ける。