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僕らの関係 プロローグ きっかけ
【学園物 官能小説】

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僕らの関係 残るヌクモリ。-13

***―――***

 試合会場は県の体育館。近隣の高校がこぞって参加しており、中には応援団が出張している学校もある。試合は全七チームによるトーナメント制。新人戦としての位置づけらしく、試合には二年生や一年生の姿が目立つ。

 開始前に恵に挨拶してこようとした幸太は包みを持って会場をうろちょろする。
 遠めに見知ったジャージ姿の集団を見つけ、駆け寄ろうとしたが、廊下一杯に響く顧問の気合の入った声に躊躇する。
 恵は何時に無く真剣な眼差しでコーチの話に耳を貸しており、あの美雪ですら表情が堅い。

 ――がんばってね、恵。

 今顔を出すのは選手達、特に美雪のテンションに影響を及ぼすかもしれないと、幸太は気付かれないように観客席へと戻った。

***―――***

 試合開始直後、長身を生かした恵がジャンプボールを制すと、美雪が例の人ごみを縫うドリブルで相手チームのディフェンスを抜いていく。
 部員達の「ソッコー」の掛け声に違わぬ攻撃スタイルで、開始一分を待たずに先制点を挙げた。しかし、相手も負けていられないと、連携を活かして機動力を封じてくる。

 試合は一進一退を繰り返しつつ、相模原は二点リードされながら第四クオーター、終盤を迎える。

 ――あー、大丈夫かな……、あと五分も無いのに。

 フル出場している恵には疲れも見えるが、選手層の薄いベンチには彼女の代わりを勤められるものもいない。
 相模原のゼッケン五番が上がっていた恵にパスをする。しかし、相手校のセッターも即座に回りこみ、ゴール下では熱い接戦が繰り広げられるが、長身を活かした恵がボールを取り、そのままシュート……。しかし、無常にもリングに嫌われたボールはあさっての方向に転がりだし、甲高い笛の音がゲームを止めた。

 試合終了かと思いきや、時計はまだ時間を刻んでいる。

 コートの中の会話は聞き取れないが、どうやら相手のファウルを取ったらしい。
 フリースローを与えられた恵は慎重にゴールを見据えて第一投……。リングに当たることなく、綺麗に決まる。

 続く第二投はまたもリングに弾かれる。
 一点差を守る相手校は必死に時間を潰しにかかるが、バイオレーションを意識してか、ギリギリまで粘れない。

 その隙をついた相模原の五番がボールを奪い、速攻をかける。そのままゴール下まで駆け抜けると、レイアップシュートに見せかけて、後方に控えていたノーマークの十番にパス。
 ボールを手にした選手は一瞬呼吸をしてから綺麗な放物線を描いた。
 一点差が一気に二点差に広がると、ムードもがらりと変わる。
 連携に長じていたハズの相手校は時間に焦り、全員が上がり過ぎてしまい、コートを狭く使ってしまう。

 刻一刻と時計は進み、終了を告げる主審の笛の後には、相模原ベンチの沸きあがる声が響いた。


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