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未完成恋愛シンドローム
【同性愛♂ 官能小説】

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未完成恋愛シンドローム - Crazy Children --9

「イヴ」
「・・なに?」
混乱気味なオレに、コタローが声をかけてくる。
「結構走った?」
「そりゃな」
極力、平静を装って返事をする。
「それでか」
「なにが?」
「入って来た時、顔赤かったから」
・・・・。
心臓が止まりそうになった。
なにか言おうと、口を開きかけた瞬間―
「遅くなりました」
準備室から、先生が入って来た。

結局、音楽鑑賞でなにを聞いたかすら覚えてないくらい動揺したまま、6限目は過ぎた。

・・・・・。

「今日は部活?」
HRが終わった後。
荷物を纏めていると、和葉が近付いて来てそう言った。
「ん。なんで?」
忘れ物がないか、机の中を漁りながら聞く。
「んー」
少し考えた後、
「こないだ小太郎くんと伊吹ちゃん来れなかったじゃん?」
―ああ。
3人で映画見に行った時か。
「別にえーよ。どーせ家近くやし」
「そりゃまぁ、伊吹ちゃんは家近いけど」
「目的はコタロー?」
いまいち要領を得ない和葉に、こっちもよく判らない質問をする。
「いやいや、ちがくて」
「どっちにしろ、アイツも部活やろ」
言いながら、コタローの席の方を顎で指す。
そこにはもう、コタローの姿は無かった。
「・・そっかぁー」
少し残念そうに、和葉が言う。
「やっぱコタローメイン?」
もう一度聞いてやる。
「違うってば」


「完全にフられたな、コタロー」
「だからそーゆーんじゃないって!」
からかわれてると思ったのか、さすがに和葉が声を荒げる。
「仲直り」
「は?」
「仲直り、したみたいだから」
・・・。
「誰と誰が?」
話の意図が読めない。
「伊吹ちゃんと小太郎くん」
―ああ。
「別に、喧嘩しとった訳やないけど―」
そこまで言って、言葉を呑み込んだ。
いくらなんでも、経緯まで言う訳には行かない。
和葉だけじゃなく、他の誰にも。
「とにかく、喧嘩とかじゃない」
「そうなの?」
和葉の瞳が、オレを見てくる。
「そうやって」
立ち上がりながら答える。
「変わってへんよ」
ぐりぐりと和葉の頭を撫でながらそう言った。
「んむー」
それに頭を振って嫌がる和葉。
「仲直りしたんだったら、3人一緒にどっか行こうと思ったのに、もういいよ!」
怒った。
まぁ、あんまり深みを探られるよりはマシか・・。
「判った判った。また今度な」
「もう誘わない!」
軽くキレ気味に教室を出て行く和葉を見送りつつ、オレも教室を出た。

・・・・・。


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