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未完成恋愛シンドローム
【同性愛♂ 官能小説】

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未完成恋愛シンドローム - Crazy Children --8

―このまんま机ん中に・・
入れようと中を覗くと、一杯一杯に教科書が詰まっていた。
「・・・・」
せめて持って帰れ。
まぁ、あいつのカバンがパンパンになってんのとか、見たことないけど・・。
「んー・・」
もう次の授業まで、あまり時間がなかった。
「しゃーない」
今からカイトの棚を探す時間もないので、取り敢えず机の横にかけてある体操着袋の中に突っ込んどくことにする。
「よっ」
余程汗をかいたのか、少し湿って重く感じるそれを机の上に置き、口を開ける。
「ーっ」
その瞬間、袋に閉じ込められていた匂いが、鼻の中に飛び込んで来た。
また、鼓動が早まった気がする。
「くっ」
袋の中にケータイを放り込み、机の上に置きっぱなしで急いで教室を出る。
「はぁっ・・はぁっ・・・」
その間無意識に呼吸を止めていたのか、廊下に出た瞬間、大きく息をした。
「はぁ・・・」
他のクラスの奴らが、訝しげにこっちを見ている。
「・・・・ヤベ」
ふと我に返り、慌てて音楽室に向かって走り出す。
別館の5階にある音楽室は、最短ルートでも2分はかかる。
「くそっ」
毒づきつつも、オレは別の事を考えていた。
あの匂い。
このところ、毎日同じような匂いを嗅いでる。
オレの汗と、よく似た匂い。
昨日も、オナニーしながら嗅いでた匂い。
コタローが、いい匂いって言ってた汗の―
「・・・っ」
ズボンの下で、ちん○んがガチガチに固くなってるのが判る。
と、授業開始のチャイムが鳴り始めた。
「やべ」
現実に引き戻される。
そのまま立ち止まることなく、音楽室に急いだ。

・・・・・。

6限目。
音楽室は特に席は決まってないので、窓際の席に滑り込む。
まだ先生も来ていないみたいで、少しざわついた教室の中で、息を整える。
「遅かったな」
声がした方を向くと、いつの間に来たのかコタローが居た。
「ん・・・」
わざわざ説明するのも面倒で、生返事だけ返す。
「ほら、教科書」
「サンキュ」
差し出された教科書を受け取る。
「・・・」
「・・・」
みんなが思い思いの行動を取っている中、オレとコタローだけがなにも喋ってない。
「カイトの」
「ん?」
その沈黙に耐えかねて、口を開く。
「机ん中に放りこんどこって思っててんけど、中がパンパンに詰まってたから入らんくて」
「ケータイ?」
「そう」
なにを説明しているんだろうか、オレは。
「しゃーないから、体操着と一緒に袋ん中突っ込んどいた」
「ふーん」
気のない返事。
仮に、オレがそんなこと説明されても、多分似たような返事しか返さなかったろう。
そう考えると、余計になんの為に説明したのか判らなくなる。


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