未完成恋愛シンドローム - Crazy Children --12
「・・・っ、イヴっ」
「・・」
「イヴ、待ってって」
「・・・」
「どこ行くねん、おいっ」
立ち止まる。
「・・・」
―オレは今、なにをした・・?
抵抗を感じて腕を見ると、いつの間にか誰かの腕を掴んでいた。
「どしたん?」
声のする先を見てみると、袴姿のコタローが居た。
「・・・・」
さらによく見てみると、オレが握っていた腕は、コタローの身体に繋がっていた。
「イヴ?」
コタローが声をかけてくる。
「・・・」
「わっ、ちょ・・」
が、なにも答えずにそのままコタローの手を引っ張って歩き続ける。
「イヴ」
「・・・・」
「イヴ」
「・・・・・」
「イヴってば」
立ち止まり、
「うっさい!」
何度も声をかけてくるコタローにイラつき、声を荒げた。
「・・どしたん?」
コタローが、困ったように聞いてくる。
それはそうだろう。
オレ自身、なんでこんなにイライラしてるのか判らないんだから。
「・・・・・」
手を離し、ゆっくりとコタローの方に振り返る。
「・・顔赤いけど」
そう言われた瞬間、オレはコタローの襟を掴んで壁に叩きつけていた。
「なにすっ」
「・・取れ」
抗議の声を上げようとするコタローに、押し殺した声で告げる。
「・・・は?」
「責任・・・・取れっ」
怪訝な表情をしているので、もう一度同じことを言ってやる。
「・・なんの?」
「お前がっ」
まだ判ってないらしいコタローに、余計イラついてくる。
「お前がっ!あんな・・」
「え?」
「あんな、変なことするから・・・」
自分で言っていても訳が判らな過ぎて、段々泣きそうになってきた。
「それって」
「せやから、取れっ、責任っ」
半ばやけくそ気味に言い放つ。
「・・・・・」
しばらくの間、コタローがじっとオレの顔を見つめてきた。
自分がどんな表情をしてるのかとか考えたくもなくて、瞳を伏せて視線を反らせた。
―なんだって言うんだろう。
放課後の校舎で、男2人が話すような内容じゃないだろ、こんなの。
長い、長い時間が過ぎた―
・・・・・。