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恋愛の神様
【ファンタジー 恋愛小説】

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恋愛の神様・後編-4

レジで清算を済ませた八代は、あたしと祐希の手のひらに千代紙でできた小さな包みを置いた。

「何これ?」
「開店記念の粗品。中身は抹茶味の飴だって」
「へー」

あたし達はそれを制服のポケットにしまって、そこで八代と分かれた。

二人になって最初に口を開いたのは祐希。

「ごめんね」
「え?」
「あたし実果を避けてた」
「あー、やっぱり?」

ハハッと軽く笑って、重い雰囲気を少しでも軽くしようとする。

「ちょっと、嫉妬してた」
「嫉妬?」
「あたしより実果のが八代と仲いいから」
「は!?」
「実果には勝てないなーって」
「そんな…」

違うよ、あたしが八代を好きなんて全くの嘘で…、祐希を困らせるつもりじゃなくて―――

言い訳は山ほどあるのに、一つも言葉にならない。
祐希を取られたくなくて嘘ついて、今は祐希に嫌われたくなくて黙ってる。
保身すればするほど、祐希を悩ませるだけなのに。

「ねぇ、実果」
「ん?」
「あたし、明日告白する」
「え!?」
「ダメ元だけど、実果の気持ち知ってるけど、今日の八代を見て決めた」
「祐希…」
「実果も八代のあーゆうとこを好きになったんでしょ?」

祐希は頬をほんのりピンクに染めて、さっき貰った千代紙の包みを取り出した。

「こんなね、何でもない物貰っただけで嬉しいなんてバカだね」

小さな包みを、まるで宝石でも扱うように両手で優しく包み込む。
やめて、そんな顔しないで。あたしだってそうだよ。祐希がくれた物はみんな大切。
目の前にいるのはあたしが願った通りの、"女心の分かる祐希"。
こんな筈じゃなかった。

「安上がりな女」

今は意地悪くそう言うのが精一杯。

「自分もでしょ?じゃあね!また明日」

走って帰って行く後ろ姿を手を振る事なく見送った。


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