憂と聖と過去と未来3-1
それからは本当に苦悩の日々だった。
専門学校志望だったあたしが突然大学志望に切り替えたことに担任は戸惑い、同時に怒りを買ってしまった。
なぜ最初から大学を志望しなかったのか、そんなに簡単に意志を曲げていいのか、お前は専門学校のほうが向いている、などということを放課後延々と聞かされたこともあった。
担任としては、多少仕事が増えるということもあるし、少なからず責任がかかるわけで、進学を失敗してほしくないのだろう。
だが、あたしは当然聞く耳を持たなかった。
担任や家族に負い目もある。
実際、担任を説得できたのもすぐにとはいかなかったし、両親に説明するのも大変だった。
聖を追いかけたい、なんて言えるわけもない。
クラスメイトだって皆専門学校を志望しているのだから気まずくもあった。
でも…あたしは少しでも聖のそばにいたい。
それがどんなに卑怯なことでも。
聖はあたし以上に成績がよかった。
勿論、聖が行くと言っていた大学は、あたしが簡単に入学できるようなところではない。
だから、あたしは一学期が終わる頃から、今までの生活では考えられないほど勉強に明け暮れた。
聖とは体育祭の日から何もない。
勿論、関係も変わらない。
あの保健室での出来事は夢だったんじゃないかとも思った。
でも、たしかに聖の暖かな声と笑顔はあたしの心に残ってるから。
今はそれだけが頼りだから。
途中、何度も挫折しそうになった。
あたしじゃ無理なんじゃないか。
やっぱり浅はかな考えだった。
聖を追いかけるなんて夢のまた夢。
それでも諦めなかったのは、聖が好きだという気持ちが勝った結果だった。