僕らの関係 学園祭-31
「わ、おっきくなった! 熱い、すご、なんで、里奈の中ですごく熱いよ」
ゴムが破けてしまったのだろうか?
例えそうであったとして、彼にまとわりつく快感が避妊を軽く扱わせる。
射精するたびに亀頭が肥大し、回を重ねるごとに萎んでいく。その最後のときまで里奈は熱い襞で包んでくれた。
「はぁ……コータ、イッタね」
「うん……」
「ねえ、赤ちゃん、出来るかな?」
もしゴムが破けていたら……、例えそうでなくても可能性は常にある。カラフルなハコの側面には過信をしないよう、赤字で注意書きが添えられているのを覚えている。
「そしたらどうしよう」
「コータと結婚する」
「そう? それもいいね」
「うん。そして二人でお食べ物屋さんをするの。コータが板前さんで、里奈が女将だ
ね」
彼女らしい可愛らしい夢だが、高校生の見るものでもない。ただ、彼女は進路希望に調理師専門学校を記入していたのを考えると、あながちただの妄想でもない。
――りっちゃん、もしかしてそのつもりで……? そんなこと無いよね?
おかしな妄想をしてしまう幸太だが、それは考えすぎと自分を笑う。
ようやく身体を離すと、彼女の秘裂からぬるりと陰茎が抜ける。その先っぽは不自然にだらりと垂れる白い塊が見えた。
何事かと目を疑う幸太だったが、里奈が楽しそうに先っぽを突くことで、それがゴムであることを思い出す。どうやら破けてはいなかったらしい。
ほっとする反面、彼女との結婚が遠のいてしまったことが寂しくもある。
ゴムを外すも部室に捨てるわけにもいかず、ティッシュに包む。
床に脱ぎ散らかされた制服を里奈に渡し、幸太もズボンを穿く。部室にはすえた臭いが漂うが、今更誰が来ることも無いだろう。換気はせず、床に垂れた行為の残滓を拭き取り、それも一緒にビニール袋に入れる。
黙々と作業していると、先ほどの交歓が嘘のように思えてくるが、赤くそまるティッシュをみると、にわかに興奮を覚える。
――僕、りっちゃんとしちゃったんだ。なんか、気持ちよかったのに、変な気分。
僕、何か変わったかな?
快感と満足感に浸りながらも、幸太はどこか苦い気持ちを覚える。
それを大人の味なのだと無理矢理結論付けるが、真の理由に気付くのはまだ先の話。
続く