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光の風
【ファンタジー 恋愛小説】

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光の風 〈回想篇〉後編-7

「お前には感謝している。リュナに会わせてくれた、あいつをいつも支えてくれた。今はオレを案じてもくれている。」

カルサの言葉にレプリカは何度も横に首を振った。

「オレは近いうちにヴィアルアイの下へ辿り着くだろう。きっとそれで全てが決まる。太古の時代は終わり、新時代に変わるはずだ。」

太古と呼ばれ追憶の中にしか存在しないとされている時代は終わってなどいない。今も尚、因縁という形で縛られ身動きがとれないまま抜け出せずにいる。

たとえ王が変わろうとも、それ以外何も変わらなければ意味がなかった。この沈黙の時代は終焉へと向かっている。

「オフカルスの事はオレ達に任せてくれ。知っているようにオレには本音でぶつかり合える仲間がいる。」

カルサは千羅の肩を抱き笑ってみせた。その時の千羅の照れくさそうでもどかしい複雑な表情をレプリカは見逃さなかった。千羅の抱えている大きな想いを感じ取っていた。

「お前達が思う程、最悪な結末にはならないと思う。不思議とそんな気がするよ。」

穏やかな気持ちで出た言葉は二人の意識に変化を与えた。自然と顔が上がり、カルサへと視線を向ける。二人の視線を感じたカルサは、二人に向けて微笑んでみせた。

「ただ表面に色んな事がありすぎるとオレもブレてしまう。有難い事に軌道修正をしてくれるのが千羅と瑛琳なんだ。」

突然の話の展開に千羅は思わず、きょとんとしてしまった。今まで感謝の気持ちを聞いた事が無いわけではなかったが、ここまで深い心の内を話してくれたのは初めてだった。

本当に今日はどうしたんだろう。

「珍しいな。」

感心の言葉が自然と漏れた。

「古の民がいると思うと、不思議と力を抜ける。オレも変な気持ちだ。」

はにかむようにカルサが笑った。それに反応したのはレプリカだった。

「私もです。皇子にお会いする事が出来て、本当に嬉しかった。」

彼女の満面の笑みが全てを物語っていた。同郷というだけで人はなぜか心温まる。それだけで伝わるものがある。

「そうだな。」

どれだけぶつかり合っても底にある絆が揺らぐことはない。今ここにリュナが居てくれたらと誰もの心に浮かぶ。

そう、彼女を取り戻さなければいけない。

「ヴィアルアイの下でリュナに会えるだろう。リュナを取り戻すことが出来たら、レプリカ。あいつを迎えに来てやって欲しい。」

思わず聞き返してしまいそうになる言葉が聞こえてきた。真っすぐレプリカの目を捕らえたまま、カルサの言葉はそれでおわってしまった。


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