Summer〜君がくれたもの〜[亜季編]-4
亜季「ねぇ・・・悠木?」
悠木「うん?」
亜季「え・・・っとさ。・・・ううん。なんでもないや」
悠木「なんだよ。暑さでおかしくなったか?」
亜季「そう思うならクーラー買いなさい」
悠木「そうだな・・・」
本当に暑い。でも、それは気温のことだけじゃなくて・・・。二人きりなんだから、仕方ないと言えば仕方ないが、亜季の視線が気になる。なんか、目を合わしていいのかよくわかんないし。いつも会ってるくせに、こういう時はメチャ緊張してるし。なんか頭ん中で色々考えちまってるし。亜季はそんなことなさそうに、ボーッと扇風機を目で追っている。
まて、こんなのは俺のキャラじゃない。でも・・・。俺は亜季に惚れ始めてるのかもしれない。
亜季「やっぱり暑い・・・」
悠木「じゃあこなきゃよかったんだろ?俺もこんな暑い部屋に帰りたくなかったのに・・・」
亜季「こんなに暑いと思わなかったんだもん」
頬をふくらませる彼女はやっぱり可愛くて、一瞬思考が止まる。言葉も止まると、亜季もさすがに気づく。
亜季「なに?どうしたの?」
悠木「なんでもねぇよ・・・」
何もできない。俺には・・・。それなりの恋愛経験をしてきたつもりだった。でも、それは本当に『つもり』だったみたいだ。
どうしていいかわからない・・・。
それでも、いつも通りにはできる。そうなっていたかは俺にはわからないが、すくなくとも俺はそうしたつもりだった。自然に・・・。気づいて欲しいけど気づかれたくない気持ち。
その日から、暑さとは違う理由で眠れぬ夏の夜になった・・・