Summer〜君がくれたもの〜[亜季編]-16
『夢限』
夢を見ていた。多くの悲しみ・・・。束の間の幸せ。夢の中で、俺は全てを悟った。
悠木「ただの夢・・・じゃないよな」
言葉として外に出たかどうかはわからない。瞼は開けているつもりだが、目の前は変わらず真っ暗だ。夜の闇なのか、体がいかれてるのかはわからない。
悠木「また・・・護れなかった・・・」
心の中で、泣いた。
もう一度、瞼を開けると今度は光が脳に焼きつく。
悠木「地獄にしちゃ・・・・リアルだもんな」
言葉はしっかりと声となって外に飛び出してくれた。ただの怪我らしい。でも、そんなことはもうどうでもよかった・・・。
和輝達が来た。みんな目を赤く腫らしていたから、大体の事情はそれだけでわかった。
和輝「悠木・・・」
悠木「わかってる」
それだけよかった。俺達の間には、それだけで。
和輝「そうか・・・」
それからしばらくしてから、俺はまた一人になった。思い出そうとすればいくらでもでてくる膨大な記憶。鮮明にでてくる映像。
悠木「冗談・・・キツイぜ」
この身を縛る呪縛を、解き放ちたかった・・・。
それから、1年後。彼は、彼の愛した人が他界した場所で自らの命を絶った。すべての業から、逃げるように。いや、それは違うのかもしれない。1年間、彼は戦った。そして、望みを次の世代へと託したのだろう。彼の記憶達がそうしたように・・・。
物語は終わらない。すべてはここから始まる。長く、悲しい物語。一番最初の物語。それにピリオドを打とうとした者達の物語。ピリオドの、向こう側へと歩いていった者達の物語・・・・・。