Summer〜君がくれたもの〜[咲弥編]-7
『リフレイン』
夏。当然部活に行くわけでもなく、ダラダラと過ごす日常。会えばセツナクなる。一方的な理由でこっちから連絡をすることはしなかった。
来年に受験を控えた身として、味気ない宿題をさっさと終わらせ、勉強するために机に向かう。去年の俺からは考えられない行動だった。楽しいとも思わない。でも他にすることも思いつかなかった。
そんなんで、夏は一ページ一ページずつめくられていく。
夏の終わり。亜季の命日。俺は初めて亜季の墓へと足を運んだ。日中にこんなとこに来る人はいないだろうと踏んでいた。しかし、それまでの道のりは楽とは言えない。それでも、何かが自分を突き動かすかのように足を進める。
道路の向こう側に咲弥が見えた。久しぶり。彼女は手を振って、俺も手を振り返す。彼女は道を渡っってこっちに来る。久しぶりに見る彼女。久しぶりの会話。やっぱり俺は。過去を断ち切ることはできなくても。彼女と時間を過ごしたかった。
向こうで彼女の友達が彼女を呼んでいた。俺に一言告げると、彼女は道を渡っていった。それまで俺は熱い歩道で時間を潰す。亜季の所に行くのは夕方になりそうだ。
しばらくして、彼女がこちらがわに渡って来た。淡々と流れる時間。いやな思い出が頭の中に浮かぶ。でも、彼女と亜季は違うから。他人と他人を重ねる方がおかしいから。
でも・・・・・。重なることもあるのだ。俺はその時それを思い知らされる。
俺はまた。大切な女の子を守れなかった。
もしも去年の夏に戻れるなら・・・俺は亜季を助けたい
もしも去年の秋に戻れるなら・・・俺は亜季への気持にきちんと整理を付けたい
もしも去年の冬に戻れるなら・・・俺は咲弥との想い出を作りたい
もしも今年の春に戻れるなら・・・俺は咲弥をもっと大切にしたい
もしも今年の夏をやり直せるなら、俺は咲弥を助けたい。
咲弥と季節を越えたかった。今度は、二人一緒に・・・・