光と影 act.6-5
「なんで……ルナのために病気治したのに…どこだよ……見えねーよ…ルナ」
ルナは…大介の隣で涙を流して寄り添っていた。
それから、更に10年の月日が流れた。
俺は勉強してそれなりの大学に入り、大企業に就職。
家からパソコンでデータを送ってできる仕事のある、この会社を選んだ。
家で見えない彼らと話しをするために。
もちろん、友達と遊んだり飲みに行くこともある。元ヤン仲間はこの会社に入れたことを驚いていたが。
交際も見合いも結婚も全部断っている。ルナのために。
ルナは『現実の見える子と付き合って』と書いていたがそんなことできない。見えなくてもそこにいるのが分かっているのだから。
俺達は世間的には有り得ない関係かもしれない。
でも、お互いが想い合えているのならそれでよかった。
俺は見えない恋人の感覚を感じ取って晴れている夜は、唇を交えるのだ。
月の輝く元で。