ラブベイビー-2
「今日もよく飲むなぁ、お前。でもいつもよりハイペースだな」
当たり前じゃん。ハイペースどころか、今んとこ全てイッキだかんね。
「まぁね」
飲んで飲んで飲みまくって、辛い現実忘れてやる。
今日はぶっ飛ぶまで飲んでやる。この店に入ったことを後悔させてやる。
「あれ、何か暗くなってきたな」
あン?何よ、こんな時に停電?ふざけんじゃねーわよ!と思っていたアタシの目の前に、飴細工や色とりどりのフルーツが乗ったケーキが現れた。
意味が分からない。
いつの間にかBGMがハッピーバースデーの曲に変わっている。
「意味が分からないって顔してんな」
あんたがニヤッと笑ってアタシはやっと意味が分かった。
「誕生日おめでとう」
「…ありがとう」
サプライズって訳ですか。
やばい。嬉しすぎる。嬉しすぎるけどもう一個ヤバイ。
「ありがとうなんだけど本当ごめん。…ウゥオォェェ〜」
「っぎゃーっ!」
─…ピーポーピーポー…─
「お前、大丈夫か!?」
大丈夫な訳無いでしょ。居酒屋でサプライズ直後大ゲロして病院に運ばれたんだから。
「大丈夫じゃなかった…」
「お前…何か病気か?」
何その焦った顔。
そんな顔見たこと無いよ。
心配そうな顔して。
「…ッブ。アハハハハ!」
バッカじゃないの?
「聞いて!出来てた、赤ちゃん!ここに赤ちゃんいるの!!」
「へ…?おま…まじか!!」
お〜顔が綻んでますな。あんた、涙目じゃん。
とか言うあたしだってボロクソに泣いてますけどね。まぁ2割はゲロゲロ吐いて苦しかったからですけどね。
「まじだ」
世界中の誰よりも、アタシが一番幸せだという絶対的自信がある。
「よくやったな!おめでとう!本当おめでとう!!」
今日はいっぱい「おめでとう」を聞いた。
「うん!…ありがと」
おそらく、今まで生きてきた人間の誕生日の中で、アタシのが一番幸せだと思う。
「赤ちゃん何ヵ月だ?」
「6ヶ月!」
「…え?」
【end.】