春に生まれた彼女へ-2
「夕、誕生日おめでとう!」
「夕ちゃん、おめでと〜!!」
今日は夕の誕生日で。
亜紀さん、弥勒、と数人が亜紀さん宅で、夕の誕生日祝いを行っていた。
…夕の誕生日祝いとは名ばかりの飲み会みたいなもんだ。
それなのに夕はさっきからとても嬉しそうで、幸せそうにみんなで買ったケーキをほおばっていた。
酒豪が多いせいか、買ってきた酒もすぐなくなって。
じゃんけんで負けたヤツが買いに行く事になった。
せっかくの誕生日のくせに彼女は負けてしまっていて。
しょうがないので、無理矢理弥勒を引っ張って買いに行った。
その後も飲み続けて、結局雑魚寝。
夜中にふと目が覚めると、何故か夕は僕の胸の上に頭を乗せていて、寄り添うように、眠っていた。
肌寒かったし、彼女のぬくもりが心地よくて、そのまま、また眠りにおちた。
朝、起きると普通に一人で寝転がっていた。
昨日の事は夢なのかもしれないな。
ぼんやりとそう思いながら、弥勒をたたき起こし、帰宅した。
夢にしては暖かかったな。
でも、いい夢だったかもしれない。
そう思いながら携帯をおもむろに見る。
新着メール欄に夕からのお礼のメール。
顔をくしゃっとして笑う夕が浮かんで、気がつくと自然に笑みがこぼれていた。
僕と夕が、また一緒に寄り添って眠るようになるのはそう遠くないおはなし。