シアワセサガシ-7
「あっ奏、こぼした。肉もらい!」
「もう。じゃあ私この一番おっきいお肉」
「肉ばっかじゃなく野菜も食べろよ」
「食べてる」
「奏んとこだけ野菜ばっかじゃん。麺かと思ったらモヤシだし」
「麺もらい。…ふふ、おいしい」
「ああっ、そこ俺のテリトリーだぞ!」
「じゃあこうすればいいんだよ」
私は大皿を半周回した。
「ここ私のテリトリーね」
「か〜な〜で〜!」
─ねぇ
「あははっ」
─シアワセになる方法知ってる?
「あは、っはは」
─知らないの?
「奏?どうした?」
─じゃあ教えてあげるね
「は、ぅっ…」
─あのね
「…く…うっ」
私の瞳からは涙が零れた。
同時に頭の中には鮮明な映像が流れていた。
大聖が私の隣に移動して手を握った。
大聖の手、ちょっと冷たい。でも気持ちいい。
「泣きなよ、思いっきり」
「うッ…ぅあ〜〜ん!」
大聖は自分の胸に私の頭を押し付けた。
私も大聖の服を掴んで声を上げて泣いた。久しぶりに、泣いた。
「落ち着いた?」
囁くような優しい声が降ってきた。
大聖の胸に顔を埋めたまま私は頷いた。
「もう少しこうしてよっか」
また頷く。
大聖の腕の中はほんのり温かくて心が落ち着いていく。
「あのね、大聖」
「ん?」
「大聖は私を幸せにしてくれる?」
少し口ごもる。
大聖の困った顔が目に浮かぶ。