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僕らの関係 プロローグ きっかけ
【学園物 官能小説】

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僕らの関係 プロローグ きっかけ-2

「何するのさ、恵まで……」

 背中を押さえながら少し涙目で恵を見る幸太。だが、恵はそんなことなどお構い無しにおかしな持論を展開し始める。

「いいか? ウチの高校の男女比は二対八だぞ、二対八。コウからすれば選り取り見取りのえりすぐりだぞ? なのに、早いだあ? お前ちん○んついてるのかよ」

「ま、ケイチンったらちん……なんてやらしーんだ!」

 わざとらしく口元に手を当てる里奈だが、恥ずかしがるというよりも、ただからかいたいように見える。

 彼らが今年の春に入学した相模原高校は今年から男女共学となったばかりで、先輩は女子のみ。また、昨今まで女子高であったせいもあり、志願者の多くが女子であった。
 ちなみに何故幸太が相模原に入学したかというと、それは彼女達にある。
 里奈と恵は幸太に『中学卒業の記念に是非』などと訳のわからない理由でむりやり願書を書かせ、試験を受けさせた。さらに彼が進むつもりであった高校への願書を記入事項不備のまま提出させ、不受理にさせたのだった。
 行く当てのなくなった彼に喜色満面で合格通知を届ける二人に、幸太は呆れながらも、その行動力に感動すら覚えた。
 思えば彼のこれまでの人生は全て彼女達が関わり、その全てを捻じ曲げられてきた。これから先もそうなると思うと、ため息はより濃く、深くなる。

「どんな奴を好きになったのか、姉さんに話してごらん」

 ボーイッシュな恵は一言でいえば姉御肌。身体が小さいことでいじめの標的になっていた彼を守ってくれた。最近はいじめられることもなくなったが、まだまだひ弱な彼の世話を焼こうと、なにかと絡んでくる。

「にひひー、やっぱり可愛い系? それともスタイル系? どっち? やっぱりオッパイ大きいほうがいいよね?」

 里奈はいつもニコニコしているが要注意。入学にまつわる企みは全て彼女差し金らしい。常に幸太をオモチャのように扱い、怒ろうとすると天使の笑顔で『ゴメンネ、ゴメンネ』とすがりつき、そしていつも騙されるのだった。

「ふーん、コウは胸が大きいほうが好きなんだ」

 スタイルには自信有りな恵は、最近さらに成長を続ける自分の胸元を抱きしめる。
ブラウスの下では、男子視線を引きずり込む魅力的な谷間が出来上がっているのだろう。

「可愛い系はどうかなー?」

 幸太の前でしゃがみ込み、覗き込むような上目遣い、そして魅力的な赤い唇にひと
さし指をあて、「どうかなー、どうかな」と甘く囁く里奈

 恋愛はまだ早いと自覚する幸太だが、二人の異性からそれぞれ別々の魅力を強調されると意識する気持ちも沸き起こる。

「二人とも……幸太ちゃんが困ってるじゃないの」

 助け舟を出してくれたのもやはりクラスメートの相沢由香。彼女も幸太の友達なのだが、他の二人と比べてずっと常識があり、願書の件も協力はしなかった。

「あらあら、ユカリンも来ちゃった。ねえねえコータ、誰選ぶの?」

 いつの間にか異性の選択肢が学校から三人に絞られてしまう。

「由香ちゃん、助けてよ。二人ともしつこいんだよ」

「幸太ちゃん、好きな子いるの?」

 頼みの綱は由香だけ。そう思った幸太だが、由香も年頃の女子らしく、恋愛話には目がないらしい。パッと顔を明るくさせると、興味津々という様子で手を合わせて目をかがやかせる。


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